
新庄まつり
山形県新庄市/八月二十四日〜二十六日
山形・最上地方の中心、新庄−美しい自然と豊かな風土に恵まれたこの地が、約二百四十年前に未曾有の大凶作に見舞われた時に人心回復と五穀豊穣のために始められたのが、日本一の山車パレード「新庄まつり」です。そして、例年にない猛暑の中、華麗な歴史絵巻が最上の夏を彩りました。

二十四日は宵祭り。夕刻、祭り囃子が鳴り響き、街が祭り気分に染まるころ、町内の若衆が精魂込めて作り上げた山車が子供たちに引かれて動き出しました。各町内を練り歩き、駅前広場をパレードするころには、歌舞伎や歴史上の名場面を題材にした飾り付けが照明に浮かび上がり、光と影による神秘的な世界が展開されました。翌二十五日は本祭り。往時を再現した古式ゆかしい神輿渡御行列のあと、山車市内パレードが行われ、夏の強い陽射しを浴びた山車が、「チェレンコヤッサー」という掛け声と、郊外の農村の若衆で構成された囃子方の奏でる、ときに力強くときに哀愁を帯びた名調子にのって華麗に市内を練り歩きました。そして最終日、一転して大雨の降りしきるなか、祭りの締めくくりとなる県指定無形民俗文化財「萩野・仁田山鹿子踊」が新庄城跡で勇壮に披露されました。
幻想と興奮に酔いしれた三日間、県内はもとより東北各地や他都道府県からも観光客が押し寄せ、人口四万人余りののどかな街の「一番暑い夏の日々」は、最高の盛り上がりを見せました。そして、祭り囃子が鳴り止むころ、最上の里には早くも秋の気配が漂い始めていたのでした。

さの秀郷まつつり
栃木県佐野市/八月四日〜六日
毎年夏、「ら一めんとカタクリの里」佐野で名将・藤原秀郷にちなんで行なわれる「さの秀郷まつり」。今年の夏も、街が熱く燃える三日間がやってきました。
八月四日、盛大なオープニングセレモニーで開幕した後、五日には市民総踊り大会と秀郷のむかで退治の故事にちなんだ綱引き大会を開催。千五百人の市民が五百メートルもの踊りの列になり、民謡にのせ優雅に舞った…と思うと、一転して屈強自慢たちが折からの雷雨にもめげずに千メートルもの大綱を力の限り引き合いました。

翌六日は、青空の下で市民秀郷パレードが行なわれ、八木節大会、むかでパレード、「ミス佐野」のオープンカー、見事に復活した山車、武者行列など多彩な内容で観客を魅了。日が傾くころ、祭りのハイライト「秀郷軍凱旋」の野外劇が行われ、殺陣の演技や女官の舞、太鼓の演奏が披露されました、、そして、勝ち鬨の声があがると祭りの熱気は最高潮に達し、勇ましい掛け声とともに神興が行き交うころには観客も路上にあふれ、街は夜遅くまで賑わいをみせました。街が賑わう一方で、専用舞台で行われた郷土芸能劇場でも大勢の観客が楽しいひと時を過ごしました。お目当ては長年佐野に伝わる里神楽「鎧塚宮比講神楽」。軽快なお囃子に乗せた狐と翁の掛合いが滑稽かつ絶妙で、場内は笑いと喝采で終始にぎやかな雰囲気が漂よっていました。
延べ二十万人が繰り出した「さの秀郷まつり」。歴史こそ浅いものの、祭りを盛り上げようとする市民の情熱は伝統ある祭りにも負けない熱気につつまれていました。

前ページ 目次へ 次ページ
|

|